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仕組まれた昭和史―思想劇画 日中・太平洋戦争の真実 [歴史]


戦争の背景にあるものは何か?金融資本家たちのネットワークであり、その中での利権争いであり、そして彼らの意向に沿って利用される人々である。その上で庶民は人殺しに利用され、殺しあうことになるのだ。我々は戦争の大義やイデオロギーには裏があることを知らなければならない。

仕組まれた昭和史―思想劇画 日中・太平洋戦争の真実

仕組まれた昭和史―思想劇画 日中・太平洋戦争の真実

  • 作者: 副島 隆彦
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 単行本



戦争に巻き込まれた日本

 本書は先の大戦において日本がどのようなプロセスで戦争に導かれたのか(導いたのではない!)を示すものである。戦争とは、国民に選ばれた政府の代表者たちだけで起こされるものではない。ゆえに、一般市民の民意だけを反映するのではない。一般市民に戦争を起こす力などはない。戦争に必要なのは膨大なマネーと軍備、そして情報である。これらをものすごく優位な立場からコントロールできる人はいないのか?いるのならば、彼らは戦争にどのように関与するのか。あるいは、世界にどのような混沌を引き起こすのか。

 以下、私が本書の内容から学んだことを論じていきたい。

政府の背後にある世界的な力

 本書はその人たちを財閥であるとする。金融資本家たちのネットワークと言ってもよい。このネットワークは一国の政府の縄張りなどものともせず、ひょいひょいと越えて奥深くに入っていくのである。そんな彼らが戦争に関与すれば、ソ連とアメリカ、ドイツとイギリスといった敵対関係を越えて両方から利害を得ようとするのである。それが可能であるからだ。どちらか一方だけに関与して、限定した形で儲ける必要などない。両方に融資し、両方をコントロールした方が良いのである。こうして両者を争わせることの先に見えるものが、彼らの目指す世界であり、目標なのである。

 確かに政府は強大な力を持っているが、その政府に食い込むことでさらなる力を得ている人々がいる。政府の人間と言っても、その国の国民にだけ依拠しているのではない。むしろ、国の外にいて世界を広く動かしている金融資本家たちに依拠し、依存しているのである。そんな人たちが表向きは一国の政府の代表として正式に選ばれたことになっている。だから、彼らが成した悪は「日本が悪い」とか「アメリカが悪い」などとなる。そして、ただの庶民に過ぎない一般の国民どうしで互いに嫌いあい、憎しみあい、そしてそのまま戦争に利用されてしまう。政府の悪の背後に何があり、実は彼ら政治家たちは国民のためにだけ動いているのではないということを知らなくてはならない。

世界的な力によって育成される一国の指導者たち

 伊藤博文ほかの指導者はイギリスによって選抜された。伊藤は若いうちにライオネス・ロステャイルドに呼ばれてイギリスに留学している。憲法作成においても伊藤はロスチャイルドの指導を受けている。こういう背後関係のある伊藤が日本の総理大臣になってしまう。

 商人も育成される。ロスチャイルドやロックフェラーによって教えられ、利権を与えられる。それが三井や三菱。こうして世界とつながった人々が日本でも台頭するのだ。だから世界の流れと日本史は切り離せない。

 こうして、世界の中枢に呼び出され、特権的に情報や知識を与えられて育てられ、操られた人たちが戻ってきて統治する。だから裏にはコントローラーがいる。コントロールであるからには、生徒に世界の仕組みを全て教わるのではない。それでは都合良く利用することができない。コントローラーたちは情報を全て教えるのではなく、自分たちの都合のいい方向に動くように誘導すればいい。そんな操り人形が、一国の指導者として統治の任にあたる。
 
 今でもアメリカに留学して洗脳されて帰ってきて日本を立派にアメリカ様向けに統治しようとする政治家たちがいるようだ。適度に頭が悪かったり、情報に疎かったり、言葉の壁がある方が何かと使えるのだろう。せっかく培ってきた情報や知識を、おしみなく全て教えるわけがないではないか。だから、植民地や属国では、現地の王や将軍に統治をさせるのだろう。また、これによって、原住民の共感を呼ぶことができ、そして反乱などを起こしにくくする効果もあろう。

鉄砲玉として利用される人々

 戦争は、無機質な政府や国家が起こすものではない。野心をもった一家、一族、及び彼らと利権で結びついたものたちが積極的に世界を動かそうとするから、戦争が起こる。誰が(どんなネットワークが)、どのように政府に食い込み、何の目的で戦争を動かしたのか。その背後にある金は?利権は?勢力争いは?誰と誰が、争っていたのか?

 こういった視点が欠けたまま、ただ単に「日本が」「アメリカが」「イギリスが」戦争を起こした、などとしても無意味である。さらに「日本人が」「アメリカ人が」「イギリス人が」戦争を起こした、悪いことをしたなどとするのも無意味であり、人種偏見にもつながるだろう。

 一般庶民に戦争を起こす力などないのだ。利用され、兵隊にされて殺し合いに使われるだけの一般庶民どうしが憎しみあって、何の意味がある。

 こうした現実を知らないままに踊らされる人々が鉄砲玉となる。イデオロギーによっても操られる。好戦的になるように煽られる。こんなことのために一般庶民が使い捨てされる。だが一方で、日本による満州侵略は、貧しさから抜け出すために庶民が望んだことでもあった。

 理想や思想のために立ち上がったはずの人々が、実はそれを利用して他のことをしようとしていた人々に騙される。裏にある大きな流れをしないと、騙されて操られる。思想や理想などのイデオロギーの背後にあるものを見つめる必要がある。今なら、中国や韓国を嫌う書籍が山ほどあり、ネット言論でも多いのはなぜか考える必要がある。

 確かに中国人や韓国人には欠点があり、嫌なところがあるのだろう。よくそういった話を見聞きする。だが、政府によって統治されてる一般庶民の性格や、政府の政治家たちだけを批判してもせんないことだ。彼らの背後にあるものを見つめる必要がある。

 裏をあまり知らない人だからこそ、首相などにかつがれて、何も知らないままに利用されることもある。その現実を知らない情熱や理想が、利用される。裏の現実をどれくらい知ってるかのさじ加減で、どのようにもコントロールできる。情報を与えるさじ加減で。

 こういった大きなマクロの視点を一人一人が持てなければ、相も変わらずこれからも人間は大規模な戦争の歴史を繰り返すだけであろう。本書を読むことによって、強い権力を握る者こそが戦争を引き起こすことができるのだというシンプルな視点を獲得することができる。国家や政府どうしの争いという視点だけで戦争をとらえるから、その国家の一員である一般市民までが、互いの国を罵り合うことになってしまうのだ。

理性主義のリベラルは人々を上から統治したがる
 
 副島隆彦によれば本当の「世界皇帝」であるデイビッド・ロックフェラーも本書に登場する。若き日の彼はどのような人だったのか?本書より引用する。

(転載開始)

デイビッド・ロックフェラー自身が人類の理想社会を実現、即ち共産主義を信じ込んでいたのである。ただし、人類皆平等な社会を作ったのち、自分たちが哲人政治家(プラトンの『国家篇』)になって上から指導する、という思想であった。



(転載終了)

 マネジメントの大家であるピーター・ドラッカーによれば、このようなタイプの人間はRationalist Liberal(理性主義のリベラル)と称される(詳しくは彼の著書「産業人の未来」を参照してください)。彼らは真理を自覚し、身につけていると信じている。だから、他の全てを導く義務と責任に目覚め、そして上から大衆をコントローする情熱に、どうしても駆られてしまう。そして独裁者となり、結果として残酷な結果を引き起こしてしまう。フランス革命での虐殺であり、ヒトラーによるナチズムであり、共産主義による独裁である。

 彼らが身につけているとする真理は何でも良い。哲学でも遺伝学でも心理学でも、共産主義でもいい。彼らがそれを正しいと信じ込み、そして自分こそは真理を身につけており、ゆえに実践せずんばやまずと思えばいいだけのことなのだ。そういった正義が独裁を生み出す。

 どうやら、今現在でも世界の頂点で強い権力を握っている人々は、理性主義のリベラルであるようだ。




新訳 産業人の未来―改革の原理としての保守主義 (ドラッカー選書)

新訳 産業人の未来―改革の原理としての保守主義 (ドラッカー選書)

  • 作者: P.F. ドラッカー
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 1998/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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