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「アメリカに食い尽くされる日本―小泉政治の粉飾決算を暴く」森田実・副島隆彦著 [政治・経済評論]

現実の政治を動かしているものを人・金・イデオロギーなどのリアルな視点からとらえ、小泉政権を内部から分析する


アメリカに食い尽くされる日本―小泉政治の粉飾決算を暴く

アメリカに食い尽くされる日本―小泉政治の粉飾決算を暴く

  • 作者: 森田 実, 副島 隆彦
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 単行本

アメリカによる日本支配の構図

本書は著名な政治評論家二人による小泉政権批判の書であり、次の時代を展望するものでもある。小泉政権のもたらした負の遺産だけを指摘し、嘆くだけではなく、日本が次の時代を明るく生きていくために何をすべきかも語るのである。

今や私も含めた一般の人々も、小泉政権がアメリカによって操られた属国としての政権であることは薄々感づいている。本書を読むことによって、いかに私達の代表が構成している(ことになっている)政府がアメリカによって影響を受け、翻弄されているかがわかるだろう。それは具体的にはどのようなことなのか。私が本書から学んだことをいくつか並べてみる。

・アメリカ政権との強い結びつきを持つ者が日本政界において強い影響力を持つことになる。日本におけるア メリカ人脈のボスになれる。

・政治家は自らのピンチをしのぐためにアメリカに助けを請い、助けてもらえる。しかしその見返りに、アメリカの要求を飲まざるを得なくなる。その一例として金融改革がある。

・官僚は若い内にアメリカに留学に出してもらい、そこで洗脳される。そして帰国し、彼らが日米交渉の主役となるのだ。アメリカの思想に染まり、それに従順な人々が交渉に当たるのだ。
 (この指摘を受けて私が思うに、おぼつかない英語力で短期間の内に必死で勉強するしかないのだから、様々な学説を幅広く検討したり、理論と現実の温度差を詳細に感じ取る暇はないだろう。くわえて、自らの立身出世のためもあって、どうしても流行りで主流で、今現在の政権に最も影響力を持っているようなことばかりを学んでしまうのではないだろうか。そしてそれは、アメリカの国益を強く反映したものであって、日本の国益ではないのである。)

・日本の財政危機とは、アメリカ従属の結果である。つまり、米国債を買ってアメリカ経済を支え続けなくてはならないのであり、それによって日本のマネーが流出するのである。ちなみにこのことは、副島隆彦は98年に発表した「日本の危機の本質」という著作において既に論じている。今でもマネー流出は続いているということになる。

他にも対米従属の構造が本書において様々に論じられているので、詳細は実際に読んでみて知っていただきたい。ただ本書は日本の暗い現実を指摘するのみではなく、未来の希望も論じている。それは具体的には小沢一郎による政権の実現であり、それによって成されるであろう対米従属からの脱却の試み、平和への試みである。また、何かときな臭い中国との関係であるが、これも一方では日中の平和を推進しようとする人々がいるのであり、中国の環境問題の解決のために日本の技術力で貢献できることがある。また、中国には親日的な政治家もいるのであることを忘れてはならない。

扇動され、利用される庶民

この中国との関係についても言えることなのだが、私達庶民は、政府の上層部の人間や、政府に深く絡むことで自らの利権を保持し強化しようとする人々によって狙われ、翻弄される。政府やマスコミが発表し、私達を刺激する反日・反中国の言説をそのまま受け取ってはならない。その言説の裏には何があるのか。誰が何を狙っているのか。誰が得をするのか。その言説を口にする人の背後には誰がいるのか。誰が金を出すのか。情報を出すのか。こういった視点が必要である。

こういったスタンスの重要性を説くのが副島隆彦であり、それに騙されるなとも説く。彼の情報分析は言説の表向きの意味の裏にあるものを教えてくれる。「騙される」とは例えば、憂国の情熱から中国を批判しただけなのに、それが日本と中国との戦争につながることである。それを望む人々がどうもいるらしいのであり、そうであれば、彼らは金と情報操作を駆使して一般大衆をどの方向に導こうとするのだろうか?こういった視点が必要なのだと私は思う。実際に戦争 が起きたら、駆り出されるのは一般の若い兵士達である。煽った人々ではない。

強大な権力を持った人々に利用されないために

私は副島隆彦の本を読むと、この世界が人間によって積極的に働きかけられてつくられているのだと実感する。つまり、金や情報、武力などの実際の権力を行使できる立場の人々によるせめぎ合いである。その結果が私達庶民に落とされてくる情報である。マスコミによる日本批判・中国批判の裏にあるのが前述のせめぎ合いなのである。ゆえに、それに疎い一般の大衆こそが利用されるのである。

したがって、世界の動きを上の視点からマクロにとらえ、表向きの言説、さらには制度や改革の背後にどのような人々のどのような思惑があるのかを理解し、その中にある金やイデオロギーとそれらに基づく権力の実際の有り様を分析することができる人材こそが、国民のために必要なのだ。私が思うに、副島隆彦こそはその人なのである。


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